ですやんです。

ですやんです。徳島にいます。演劇したりしてます。稚拙な文章能力を向上させるためにブログを始めました。映画や舞台の感想など色々と書きたいです。

『12人の優しい日本人を読む会』を見た。

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12人の優しい日本人を読む会〜よう久しぶり!オンラインで繋がろうぜ』

https://12nin-online.jimdofree.com/

(公式サイト)

 

YouTubeで配信されている、『12人の優しい日本人を読む会』を見ました。Twitterとかでよく話題になっているので見たって人も多いかと思います。

既に見た方も、まだ見たこと無い人も是非ご一読して頂けたら嬉しいです。

 

12人の優しい日本人』とは?

三谷幸喜氏が劇団(東京サンシャインボーイズ)時代に書き下ろした戯曲。

「もしも日本にもアメリカのような陪審員制度があったら…?」という架空の設定で描かれた法廷劇・密室劇・そしてコメディ。

劇団では1990年、91年、92年と度々上演、2005年にはパルコプロデュースでも上演された。

また1991年には中原俊監督によって映画化された、東京サンシャインボーイズの代表作の一つ。

(公式サイトより引用)

 

日本には現在裁判員制度が導入されていますが、裁判員制度陪審員制度の違いが知りたかったので調べてみました。

 

裁判員制度=日本

裁判員(市民)は裁判官と一緒に有罪か無罪か判断し、刑の重さを決める。法律問題は裁判官が行う。裁判員は事件ごとに選ばれる。

陪審制=アメリカ、イギリス、ロシア

陪審員(市民)だけで有罪か無罪か判断し、刑の重さは裁判官が決める。被告が無罪を主張している裁判のみ参加。陪審員は事件ごとに選ばれる。

★参審制=ドイツ、フランス、イタリア

参審員(市民)は裁判官と一緒に有罪か無罪か判断し、刑の重さを決める。法律問題も判断する。参審員の任期は4年。

 

毎日新聞 よくわかるニュース 裁判員制度のいまより)

 

特に、陪審員制度について知らなくても話にはついていくことができますが、事前に知ってた方が話が入ってきやすいです。

この物語の裁判では陪審員制度を導入していて、無罪か有罪かのみを判断して、罪の重さまでを指定することが出来ない様になっています。なので、有罪だけど執行猶予を付けるのような、間の答えが選べないのが、お話に少し重要になります。

 

ですやん的あらすじ

ある男性が路上でトラックに跳ねられて死亡した。その直前に、別れた女性と口論になり、女性が突き飛ばしたという目撃者の証言から、女性が被告人として検挙された。

この裁判に集められた12人の男女。最初、全員が無罪に手を挙げた。全員一致で無罪で決まると思いきや、ある男が有罪に意見を変える。

ここから話し合いが始まるも、意見がないけどとりあえず無罪に入れたものや、被告人がまだ若いので可愛そうといった意見がでてくる。

議論する内に、途中で有罪に意見を変える者が出てきた事によって無罪vs有罪の対立がはじまる。

果たして、12人はちゃんとした議論ができるのか。そしてどういった答えを導き出すのか。

 

 

感想(ネタバレ含む)

まず最初に、読む会っていう名前だけど、全く読む会ではないなと感じました。これは定かでは無いけど殆ど台本を見て話してないし、演出ついてるし。

これはzoomを使った新しい演劇、『zoom演劇』だと思いました。

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※調べてみたら、本当にzoom演劇ってあるみたいです。劇団Zooooom!や劇団ノーミーツなど。よかったら見てみてください。私も見てみよっ。

 

想定していたラグとかも聞いてる分にはほとんど感じず、聞き取りづらいセリフなども殆どありませんでした。相当そこの稽古をしたのかなーと思います。プロだったらそれもできてしまうのかなーとも思いますが。。

 

  • zoom演劇ならではの魅力

初めてzoom演劇を見たんですが、すごく良かったです。

勿論生の舞台の良さは計り知れないですが、常時役者の表情が観れるのがオンラインの最大の良さかなと思いました。

舞台だとどうしても座席の都合で見えにくいところがあったり、どうしても何処かにフォーカスを当てないと見れないのが、オンラインだと焦点をずっと合わせれるので、喋ってる人を目で見つつ、聴いてる役者の表情を見ることができるので、存分に演劇を楽しめました。

聴いてる役者の表情がキャラによって十人十色で、それが置かれている状況によってどんどん変わるのが面白かったです。

あと個人的に、YouTube配信していたので、テレビでYouTube見れる民としては、画面小さくて見えにくいなーっていうことが無かったのもよかったです。

 

  • 物語が面白い!

これはもう三谷幸喜の作品なので当たり前かもしれないですが、すごく面白かったです。12人みんな屈折していてそこがすごく愛らしい。あと、映画『キサラギ』に似ているなと感じました。

 

某ビルのペントハウスに、互いに面識のない五人の男たち(ハンドルネーム: 家元、オダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘。)が集まった。彼らはD級マイナーアイドル・如月ミキのファンサイトを通じて知り合い、如月ミキの一周忌の為に集まったのだった。

一年前にマネージャーの留守番電話に遺言メッセージを残し、自宅マンションに油を撒いて焼身自殺した彼女を悼むのが会合の趣旨だったが、オダ・ユージが彼女の死因は自殺ではなく「他殺だ」と言い出したことで状況は一変する。

徐々に明らかになる当時の状況、次々と明かされる五人の男達の正体。如月ミキの死の真相に迫ろうとする男たちは、互いに対して不信の目を向け対立しながらも、それぞれが個人的に知り得た「断片的な情報」を持ち寄り、各々が推理を繰り広げる。

小出しにされる新事実によって推理は二転三転しつつも、最終的に「ミキの人柄」が明らかにされ、全員にとって納得できる死の真相を見つけ出すまでの、密室での紆余曲折を描く。

Wikipediaより引用)

 

私実はキサラギのファンでして、すごくすごく面白いしほっこりするんで、見たことない人は是非見てみてください。ちなみに脚本は、リーガル・ハイを書いた古沢良太です。

 

この話の面白いシーンは、物語の終盤のハッピーエンドのどんでん返しのところです。(これがキサラギにもあってそこがすごく面白いです)

無罪に手を上げてた人たちが有罪に意見を変えていき、最後2人だけ無罪に手を挙げます。

そこから、ある男の活躍によって、本当は、他殺ではなく事故だったのでは無いかといった論が繰り広げられます。

そこまであまり建設的な話し合いができてなかった11人(最初に有罪に手を挙げていた者以外)が一つの論に向かって一緒に考え、どんどん閃いて論理が完成していくところに胸が熱くなりました。最終的に、有罪は元の男1人だけになってしまうけど、その男もまた11人の言葉がきっかけで救われる所もすごく好きで、少しうるっとしました。

 

おわりに

台本も凄くオンライン向きだったかなと思いました。ワンシチュエーションだし、あまり動きがある舞台でも無いし、、小道具とかも上手いこと使ってて面白かったです。

軽い気持ちで楽しく見れるので是非お時間ある時に見てください。あ、配信は5月までみたいなのでお早めにどうぞ〜!